すっぽんと亀の違いは?

同じ亀でもすっぽんはなぜ食用とされるの?

滋養強壮や疲労回復に効果があり、古くからスタミナ食として愛されているすっぽん。
一方、日本にはすっぽん以外にも亀がいますが、食材として用いられることはほとんどありません。
すっぽんと亀では、食材として何か違いがあるのでしょうか?
今回は、すっぽんと亀の違いをお話します。

亀とすっぽんの違い

すっぽんは、爬虫類カメ目スッポン科に属する亀の一種です。
カメ目の共通項として背中に甲羅を持ちますが、一般的な亀とは異なり様々な部分で異なります。

亀類には歯がある種もいますが、すっぽんには歯がありません。
「すっぽんは噛み付いたら雷が鳴っても離さない」と言われるほど顎の力が強いのですが、基本的には自己防衛のために噛み付いているだけなので、じっとしていれば噛むのをやめます。

すっぽんは水中生活に適応している

日本の亀には、イシガメのように水陸両用の亀がいます。
これらの亀は泳ぐこともありますが、日中は体温を確保するために陸上に上がり甲羅干しなどして過ごしています。

すっぽんも水陸両用の性質がありますが、より水中生活に適応した体に進化しています。
すっぽんの首は長く伸び、さらに鼻はシュノーケルのようになっており、体を水上に出さなくても呼吸ができます。
また、喉の毛細血管が発達し、水中の酸素もある程度取り込めるので、他の亀に比べ水中に長く留まることができ、陸上に上がることは滅多にありません。

通常の亀の指は5本ですが、すっぽんの指は3本しか見えません。
しかし、それはすっぽんが水中生活に適応し指の間に水かきがあるためで、実際は5本あります。

一般の亀は、皮膚が硬い鱗で覆われています。
一方、すっぽんの皮膚にはウロコがなく、触ると体全体がぷにゅぷにゅしています。

食生活

一般の亀は雑食で、肉類も草類も食べます。
一方すっぽんも雑食性ですが、草を食べることは稀で、魚類や両生類、貝類などの肉類を好んで食べます。

甲羅

すっぽんと一般の亀との最も大きな違いが、亀の特徴である甲羅です。
一般の亀は肩甲骨や脊柱、肋骨が一体化して進化した骨甲板と、皮膚が角質化した角質甲板の二層構造を持つ硬い甲羅を持ちます。
亀は甲羅に身を潜めて敵の攻撃から身を守るため、甲羅の作りも箱型で立体感があります。

一方すっぽんは角質甲板がなく、その下にある骨甲板も他の亀に比べ平らで小さく、甲羅で身を守る構造にはなっていません。
しかし、甲羅が平坦なため水の抵抗が少なく、水中を速く泳ぐことができます。
さらに、早いのは泳ぎばかりか、陸上歩行も他の亀とは異なりトカゲのように速く走れます。

すっぽんのコラーゲン繊維は配列が規則的

実は、すっぽんの甲羅はコラーゲンでできた皮膚で覆われています。
そのため、骨甲板の骨の部分以外の甲羅の部分は食べられます。
通常、動物のコラーゲンは鎖状に絡まった状態ですが、すっぽんのコラーゲン繊維は他の亀などとは異なり、配列がベニヤ板状に規則的に重なっています。

コラーゲンは調理の際に加熱で一旦収縮して固くなりますが、さらに加熱を加えるとゼラチン状になって柔らかくなります。
すっぽんの肉質が他の動物類の肉に比べ柔らかいのは、この規則正しく配列したコラーゲンが原因です。

コラーゲンはアミノ酸の宝庫

すっぽんの皮膚や甲羅は、他の亀のように角質化されておらず、コラーゲンを豊富に含有しています。
コラーゲンは主成分である非必須アミノ酸のグリシンをはじめ、プロリン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸などの各種アミノ酸が豊富です。
これらのアミノ酸は、体内に吸収されると皮膚の保湿性分や骨に柔軟を与えるコラーゲンとして再合成される可能性が高まるので、美肌や骨の合成に効果を発揮します。

また、コラーゲンを構成するアミノ酸は、他のたんぱく質や酵素、或いは遊離アミノ酸※1として体の機能の維持にも使用されます。
特に、グリシン、アルギニン、アスパラギン酸は遊離アミノ酸として単独でも体に作用し、体の健康を向上させます。

※1 遊離アミノ酸とは、他のアミノ酸とは結合せず、単体で体の機能に作用するアミノ酸のこと。

グリシン

グリシンはコラーゲンを構成する主要成分で、アミノ酸同士を繋ぐ作用があり、コラーゲンの1/3はグリシンです。
グリシンは血管を拡張させる作用があり、睡眠時に深部体温を下げ、入眠を促す作用があります。
また、睡眠時に新陳代謝※2を行うノンレム睡眠の時間を長くする作用があります。

※2 新陳代謝とは、古い細胞を分解し、細胞分裂で新しい細胞と入れ替えることで、組織の機能を保つ生理現象のこと。

アルギニン

アルギニンは遊離アミノ酸として、成長ホルモンの分泌を促進する作用があります。
また、体内で発生する有害なアンモに二アを無毒化する、肝臓の尿素回路を活性化する作用があります。
さらに、男性の精液の主成分はアルギニンで、しかも勃起時はアルギニンを代謝して一酸化窒素を生産し、血管を拡張して血液を陰茎に流し込むので、男性機能を高める効果もあります。

アスパラギン酸

アスパラギン酸は、マグネシウムなどのミネラルを細胞内に運搬する作用があります。
また、筋肉が疲労した時に放出する乳酸をクエン酸回路に運び、エネルギーに代謝※3する作用があるので、疲労回復に効果を発揮します。
さらに、アルギニンと共に有害物質のアンモニアを尿素回路で代謝する際にも必要な栄養素です。

※3 代謝とは、ある物質を体内の化学反応で、別の性質を持つ物質に変えること。

すっぽんの栄養素

すっぽんの生態は水中生活が主なので、青魚に多い脂質で動脈硬化予防に効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を含みます。
また、微生物を餌とする水生生物が主食なので、微生物しか合成できないビタミンB12が豊富で、神経細胞の修復にも効果があります。
さらにエネルギー生産に必要なビタミンB群、脂溶性の抗酸化物質のビタミンA・ビタミンE、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富です。
そのため、日本に住む他の亀類に比べ、食料としての質も格段に高いのです。

まとめ

すっぽんは亀の一種ですが、一般的な亀と異なり、より水中生活に適応した体の作りをしています。
すっぽんが他の亀に比べ食用とされるのは、一般の亀のように硬いウロコがなく、しかも肉や甲羅を覆う表皮はコラーゲンが豊富で柔らかく、美味しく食べられるからです。
しかもコラーゲンは各種アミノ酸が豊富で、摂取すると皮膚の保湿性分や骨に柔軟性を与えるコラーゲンへの再合成の確率が高まるばかりではなく、体に様々な健康効果を与えます。

コラーゲンの主成分であるグリシンは睡眠に効果があり、アルギニンは成長ホルモンの分泌や精力増進に効果があります。
アスパラギン酸はエネルギー生産を高め、アルギニンと共に有害なアンモニアの無毒化にも関与します。
さらにすっぽんは動脈硬化を予防するEPAやDHA、神経細胞の修復を行うビタミンB12など、他の動物性食材には少ない栄養素も豊富です。
すっぽんは高級食材なので毎日食べるのは難しいですが、すっぽんのサプリメントなら毎日手軽にすっぽんの豊富な栄養素を摂取できるので、上手に活用し健康維持にお役立てください。

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