※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

漢方薬のすっぽんに効果はあるの?

すっぽんの漢方薬は効き目があるのか?

滋養強壮や精力増進に効果のあるすっぽんは、古くからスタミナ食として愛用され、漢方の世界では別名「歩く漢方薬」と言われているほど、薬効が高い食品として知られています。
漢方の薬局では、乾燥させたすっぽんを粉末にしたものが売られていますが、現代医学が発展した現在、すっぽんは本当に漢方薬で言われる効果があるのでしょうか?
今回は、漢方薬の観点から見たすっぽんの栄養についてお話しします。

すっぽんと漢方

漢方薬の世界では、すっぽんは甲羅、頭、肉、脂それぞれに薬効があるとされています。

『本草綱目』におけるすっぽんの記述

すっぽんは、今から2000年前に中国で書かれた漢方薬の書『神農本草経』に既に記載されていて、現在の漢方薬の基本教本とも言うべき『本草綱目』にも、その効能が詳細に記されています。
『本草綱目』では、すっぽんの甲羅と肉は別々の薬効があるとされ、それぞれ他の漢方薬と一緒に処方すると様々な病気に効果があるとされています。

漢方医の世界ではすっぽんは
(1)滋陰補腎 生殖機能を回復し、腎臓機能を補佐し
(2)清熱消淤(ヨ) 熱を冷まし、うっ血を消し
(3)健脾健胃  脾臓※1や胃を健康にする
など、他にも様々な効能があるとされています。

※ 漢方で言う五臓六腑の脾臓の概念は、現代医学のすい臓と脾臓が一緒になっています。

すっぽんの栄養素

すっぽんは低カロリー高たんぱくな食品で、アミノ酸を豊富に含有しています。
ビタミンB群をはじめとした各種ビタミン、鉄や亜鉛などのミネラル、ω-3系脂肪酸などの栄養素も豊富です。
すっぽんは本当に漢方薬としての効能があるのか、栄養面から検証してみましょう。

生殖機能の回復

漢方の世界では、すっぽんは生殖機能の回復に効果があるとされています。
実際にすっぽんは男女共に生殖器を改善する効果のある非必須アミノ酸のアルギニンと、必須ミネラルの亜鉛が豊富です。

アルギニンの働き
性ホルモンの分泌促進

アルギニンは、性ホルモンの分泌を促進する作用があります。
アルギニンは遊離アミノ酸※1として作用すると、脳下垂体を刺激して成長ホルモンの分泌を促す作用があります。
成長ホルモンは精巣の精子や、卵巣の卵子の細胞分裂に必要な化学物質です。

※2 遊離アミノ酸とは、他のアミノ酸と結合せず、単体で体の機能に作用するアミノ酸のこと。

また、性ホルモンの分泌の指令は、脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモンが分泌されることで行われます。
しかし、ストレスや過労、生活習慣の乱れなどで自律神経が乱れると、自律神経を支配下に置く視床下部の機能も低下し、性ホルモンの分泌の指令が出難くなります。
視床下部は脳下垂体とも連動しているので、アルギニンで脳下垂体が刺激されると、連動して視床下部も刺激され、性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌が促進されます。
その結果、精巣や卵巣に性ホルモン分泌の指令が届き、男性ホルモンのテストステロンや、女性ホルモンのエストロゲンの生産が促進されます。

アルギニンは精液を増やす

男性が射精の際に放出する精液の主成分は、アルギニンです。
男性は一度精巣から精液が尽きると、満タンになるまでおよそ3日かかります。
そして、50歳を過ぎると射精の際の精液の量が急激に低下するので、アルギニンの豊富なすっぽんで補給するのが賢明です。
すっぽんは100gあたり1,036mgのアルギニンを含有しているので、精液の量を増やすのに貢献します。

アルギニンは勃起力を高める

勃起は陰茎の海綿体に、血液を流し込むことで生じます。
陰茎に血液を送り込む際に、血管を拡張する一酸化窒素が必要ですが、その原料となるのがアルギニンです。
アルギニンをシトルリンに代謝※3する際に副産物として一酸化窒素が生産され、血管を拡張し陰茎に血液を送り込みます。
血中にアルギニンが少ないと、勃起力が低下するので、アルギニンの豊富なすっぽんは性機能改善に効果を発揮します。

※3 代謝とは、ある物質を体内の化学反応で、別の性質の物質に変えること。

亜鉛の働き
亜鉛は生殖器に多く存在している栄養素

亜鉛は別名「セックス・ミネラル」とも呼ばれるほど、性機能維持に必要な栄養素です。
亜鉛はたんぱく質や酵素の合成の促進や、細胞分裂を正確に行う際に必要で、精子や卵子、性ホルモンの生産を行う生殖器に多く存在します。

亜鉛が不足すると性機能が低下する

亜鉛は日本人の食生活で不足しがちで、尚且つ体内への吸収率が非常に悪い栄養素です。
すっぽんの摂取が不足すると、生殖器にある亜鉛の量が減少し、精子や卵子、性ホルモンの生産量が低下するので、性機能の低下を引き起こします。
亜鉛は良質なたんぱく質と一緒に摂取すると、吸収率が上がることが知られており、高たんぱくなすっぽんは亜鉛の摂取に最適な食品です。

成分含有量

すっぽんは亜鉛が豊富で、100gあたり1.6mg含有し、これは成人男子が1日に必要な摂取基準の16%に相当します。

ビタミンEの働き
ビタミンEは性ホルモンの生産量を向上させる

ビタミンEの化学名であるトコフェロールは「子供を産ませる」という意味で、男女ともに性ホルモンの代謝に関与しています。
ビタミンEを摂取すると、男女ともに性ホルモンの生産量が向上します。

成分含有量

すっぽんはビタミンEを100gあたり1mg含有し、これは成人男子が1日に必要な摂取基準の15.4%に相当します。

腎臓機能の補佐

漢方の世界では、すっぽんは腎臓の機能を補佐する役割があるとされています。
腎臓は血液から老廃物や毒素を漉し取り、尿と共に排泄する器官ですが、その機能を補佐するのが「人体の化学工場」と呼ばれる肝臓です。
肝臓はエネルギーの生産や、各種たんぱく質や酵素の生産、解毒など様々な役割を担う器官です。
特に肝臓の解毒作用が低下すると、腎臓に大きな負担が掛かります。
すっぽんは、この肝臓の解毒作用を高める栄養素が豊富です。

ビタミンB群でドロドロの血液をサラサラにする
血液がドロドロの状態は腎臓に悪影響を与える

腎臓は糸球体と呼ばれる非常に細い毛細血管に血液を送り込み、老廃物や毒物を漉し取りろ過します。
しかし、血液がドロドロになると糸球体が根詰まりし、ろ過機能が低下し、最悪の場合腎不全になり腎臓の機能を失います。

肝臓の代謝が落ちると血液がドロドロになる

血液をドロドロにする成分が、中性脂肪や悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロール、そして高血糖を引き起こす糖質です。
これらの成分は肝臓のエネルギー代謝が低下すると、分泌が増えます。

肝臓は食物で摂取した糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素をエネルギーに代謝しますが、過食や肝機能の低下でエネルギーに代謝しきれないと、脂肪に変換されます。
肝臓に脂肪が蓄積すると、中性脂肪やLDLコレステロールの分泌が促進され、また血糖値を下げるインスリンの効果も低下するので、血液がドロドロになります。
この三大栄養素を代謝する際に補酵素として作用するのがビタミンB群で、すっぽんはビタミンB群が非常に豊富です。

ビタミンB群が肝臓のエネルギー代謝を促進させる

すっぽんでビタミンB群を摂取すると、肝臓のエネルギー代謝が促進され脂肪が減少するので、血中の中性脂肪やLDLコレステロールが減少します。
また、脂肪が減少するとインスリンの効果も改善されるので血中の糖質も減少し、ドロドロの血液がサラサラになり、腎臓の負担を軽減します。

アルギニンとアスパラギン酸でアンモニアを除去する
尿素回路が正常に働かないと肝機能が低下する

肝臓の機能を低下させる原因物質に、体内で発生する有害なアンモニアがあります。
アンモニアは新陳代謝※4や体内でたんぱく質が分解されることで生じ、神経細胞を麻痺させ、エネルギーを生産する細胞内のミトコンドリアの活動を阻害します。
アンモニアは血液で肝臓に集められ、肝臓にある尿素回路で無害な尿素に代謝され、尿と共に体外に排泄されます。

※4 新陳代謝とは、古い細胞を分解し、細胞分裂で新しい細胞に入れ替えることで、組織の機能を保つ生理現象のこと。

しかし、加齢やストレスなどで肝機能が低下すると、アンモニアの代謝が間に合わなくなり、逆に肝臓に集められたアンモニアの影響で肝機能がさらに低下します。
その結果、肝臓のエネルギー代謝も低下して脂肪が蓄積するので血液がドロドロになり、腎臓に負担を掛けます。

アルギニンとアスパラギン酸がアンモニアの無毒化を促進させる

すっぽんに豊富なアルギニンとアスパラギン酸は、尿素回路に必要不可欠な栄養素です。
アルギニンとアスパラギン酸を摂取すると尿素回路が活性化し、アンモニアの無毒化を促進します。
その結果、肝臓の機能が改善し、エネルギー代謝も回復するので脂肪が減少し、血液がサラサラになります。

すっぽんで免疫機能を向上

すっぽんが熱を冷ます効果があるのは、免疫機能を向上させる効果があるためです。
すっぽんは、免疫機能を高める栄養素が豊富です。

アルギニン
成長ホルモンの分泌を促進して免疫を強化する

すっぽんに豊富なアルギニンは成長ホルモンの分泌を促進する作用があり、成長ホルモンが分泌されると免疫系が強化されます。
また白血球の一種で、細菌や異物を取り込み消化するマクロファージを活性化する作用もあります。

グルタミン酸
腸のエネルギーとして使用され、免疫を強化する

「腸管免疫」という言葉があるように、体の免疫機能の6割は腸内で生産されます。
グルタミン酸は小腸で吸収されると、そのまま腸のエネルギー源として使用され、腸の免疫機能を高めます。
また、血液中のアンモニアと結合するとグルタミンになり、白血球の一種であるリンパ球の餌となり免疫力を高めます。

成分含有量

すっぽんはグルタミン酸が豊富で、100gあたり2,466mgも含有しています。

亜鉛
免疫細胞を作る胸腺を強化する

亜鉛は、免疫細胞を作る胸腺を強化し、白血球などの免疫細胞を増やす効果があります。
また、リンパ球の一種であるT細胞の機能を強化する効果があります。

ビタミンA
粘膜を強化してウイルスの侵入を防ぐ

ウィルスなどの侵入を防ぐ、体の粘膜を強化する効果があります。
また、リンパ球を活性化する効果もあります。

成分含有量

すっぽん100gあたり94μgのビタミンAを含有し、これは成人男子が1日に必要な摂取基準の11%に相当します。

ビタミンB6
ビタミンB6は抗体を作る際に使用される

ビタミンB6は、体内に侵入した異物を認知する、免疫グロブリンと呼ばれる抗体を作る際に必要な栄養素です。

成分含有量

すっぽんはビタミンB6を100gあたり、0.11mg含有し、これは成人男子が1日に必要な摂取基準の15.4mgに相当します。

血栓を予防する

血栓とは

うっ血は、血管内に血栓ができると生じます。
血栓は血中に中性脂肪やLDLコレステロールが増え血管内壁に付着することで生じ、動脈硬化の原因となります。

すっぽんに豊富なビタミンB群は、血中の中性脂肪やLDLコレステロールの分泌を減らす作用があります。
また、必須脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)が血中に増えると、血中の中性脂肪やLDLコレステロールが減り、血栓ができにくくなります。
さらに、ビタミンEは油に溶ける脂溶性の抗酸化物質で、活性酸素※5による血栓の過酸化脂質化を防ぎ、分解されやすい状態を保ちます。

※5 活性酸素とは電子が欠損した物質として不安定な酸素のこと。他の物質と結合することで物質としての安定化を図るため、普通の酸素に比べ化学反応が早い性質があります。

脾臓を健康にする

漢方で言う脾臓は、現代の脾臓とすい臓を一緒にした概念です。
現代医学では脾臓とすい臓の機能はそれぞれ異なりますが、すっぽんはどちらの臓器にも効果を発揮します。

脾臓に鉄を補給
脾臓に蓄えられている鉄分で血液が作られている

現代医学の脾臓は血液と非常に関係のある器官で、血液を作る鉄を貯蔵し、古くなった赤血球を分解する役割があります。
鉄が不足すると、赤血球の主成分で酸素を運ぶ役割のあるヘモグロビンの合成ができなくなり、貧血になります。
すっぽんで鉄を補給すると、脾臓で鉄の貯蓄量が増え、貧血が起きづらくなります。

成分含有量

すっぽんは鉄も豊富で、100gあたり0.9mg含有し、これは成人男子が1日に必要な摂取基準の12%に相当します。

すい臓のインスリン生産量を増やす
すい臓の機能低下は糖尿病につながる

すい臓は、消化吸収に関係する各種分泌物を生産する器官です。
すい臓の重要な機能の一つに、血糖値を下げるインスリンの分泌があります。
エネルギーが不足した際に血糖値を上げるホルモンは各種ありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンだけです。
そのため、すい臓の機能が衰えると血糖値が下がらなくなり、糖尿病になります。

すっぽんの亜鉛がすい臓の機能を高める

インスリンを生産するのは、すい臓のランゲルハンス島のβ細胞で、インスリンの生産には亜鉛が必要です。
β細胞に亜鉛が不足するとインスリンの生産力が低下し、血糖値が下がりにくくなります。
すっぽんは亜鉛が豊富なので、すい臓の機能を高めることができます。

胃の健康を保つ

ストレスが胃の不調を引き起こす

胃はストレスに弱い器官で、ストレスなどで自律神経が乱れると胃液の分泌が過剰になったり、逆に不足したりします。
胃酸が過剰になると、胃の粘膜を傷つけ胃潰瘍を発症します。
逆に胃酸が少ないと、消化不良を引き起こします。

ストレスで乱れた自律神経を正常化するには、脳に栄養を補給し、自律神経を調整する脳内ホルモンを作る必要があります。

脳は基本的に糖質しか栄養とせず、脳に栄養を与える際に必要なのが、すっぽんに豊富なビタミンB1です。ビタミンB1は主に糖質をエネルギーに代謝する際に使用されます。
また、食欲を促進し胃酸の分泌を増やす脳内ホルモンのドーパミンや、逆に満腹感をもたらし胃酸の分泌を抑制するセロトニンの生産には、ビタミンB6が必要です。
すっぽんでこれらの栄養を摂取するとストレスが緩和され、自律神経の乱れが改善するので胃酸の分泌も正常化します。

漢方薬は体質の改善に効果を発揮

漢方薬は西洋医学の薬とは違い、徐々に体の体質を改善することで健康な体を取り戻すことを目的としています。
そのため、西洋医学の薬のように即効性はありません。
しかし、毎日少しずつ摂取して徐々に体質を改善すると体に負担が掛からず、病気が快復した時には、再びその病気になりづらい体を手に入れられます。

また、漢方薬は自然にあるものを利用しているので、処方箋に従って摂取していれば一部の例外を除き、副作用がでることは殆どありません。
すっぽんも普段は高級料理として食べられる食材なので、漢方薬にしたからと言って副作用が出ることもありません。

まとめ

すっぽんは2000年も前から中国で漢方薬として用いられてきた食品です。
すっぽんの豊富なアミノ酸やビタミン群、亜鉛や鉄といった栄養素は、体の機能に働きかけ、様々な健康効果をもたらします。
特に漢方の世界では、すっぽんは性機能の維持や、肝機能の向上、ドロドロの血液をサラサラにする効果、免疫機能の向上、内分泌系の促進に効果を発揮します。
漢方は徐々に体質を改善することで効果を発揮するものなので即効性はありませんが、毎日少しずつすっぽんの栄養を摂取すると、病気に強い体を作れます。

あなたにオススメのコラムRecommend