すっぽんと食べ合わせが良い食品
すっぽんと相乗効果を発揮する食品は?
すっぽんは、疲労回復や美容など様々な健康効果がある栄養豊富な食品です。
ただし、健康を維持には一つの食品に偏らず、様々な食品から満遍なく栄養を補給することが肝心です。
私たちの身の周りには多種多様な食材がありますが、すっぽんと食べ合わせが良い食品はどのようなものがあるのでしょうか?
今回は、すっぽんと食べ合わせが良い食品についてお話します。
すっぽんの栄養素
すっぽんはコラーゲンが豊富な低カロリー高たんぱくな食品で、体の機能を維持するために必要な各種アミノ酸を豊富に含有しています。
また、ビタミンB群をはじめとした各種ビタミン、鉄や亜鉛といったミネラル、必須脂肪酸のω-3系脂肪酸も多く含有しています。
これらの栄養素は単独でも体の機能に有益に作用しますが、他の栄養素と連携するとそれ以上の健康効果をもたらします。
世の中にはすっぽんが含有しない栄養素も多くあり、それらの栄養素の中にはすっぽんの栄養素を活性化する成分も多くあります。
私たちがすっぽん料理を食べた時に、どのような食材と一緒に食べるとすっぽんの効果をより高められるのか、詳しく見ていきましょう。
にんにく
すっぽんは、唐揚げにして食べると煮汁が衣の中に閉じ込められ、濃厚な味を楽しめます。
味付けに、にんにく醤油などが使われていると、すっぽんの栄養素と相乗効果を発揮します。
にんにくの臭いの成分であるアリシンは、にんにくのスタミナ成分とされている栄養素です。
アリシンはすっぽんに豊富なビタミンB1と結合すると、アリチアミンという成分になり、小腸からのビタミンB1の吸収率を高めます。
ビタミンB1は、主に糖質をエネルギーに代謝※1する際に補酵素として作用する栄養素で、疲労回復効果があります。
しかし、ビタミンB1は水溶性ビタミンなので、摂取した時点で必要な量以外は数時間程度で体外に尿と共に排泄されます。
※1 代謝とは、ある物質を体内の化学反応で、別の性質の物質に変えること。
ビタミンB1がアリシンと結合してアリチアミンになると、油に溶ける脂溶性に変質し、体内に長く留まれるようになります。
その結果、糖質をエネルギーに代謝する時間が長くなり、それだけ疲労回復効果が持続します。
すっぽんとにんにくは、疲労回復にとても相性がよい食べ合わせです。
すっぽんはビタミンB1を100g中0.91mg含有し、これは成人男子に推奨される1日の摂取量の65%にも相当します。
また、アリシンはドロドロの血液の原因となる血小板の凝固作用を抑制する作用があります。
一方、すっぽんはビタミンB群、ビタミンE、必須脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富です。
これらの栄養素は、血中の中性脂肪や悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの分泌を抑制し、ドロドロの血液をサラサラにする効果があります。
すっぽんとにんにくを一緒に摂取すると、生活習慣病の予防に効果を発揮します。
柑橘類
すっぽん料理を食べた後は、お口直しに柑橘類のデザートがおススメです。
柑橘類の酸味は、クエン酸によるものです。
クエン酸は、細胞内でエネルギーを生産するミトコンドリアのクエン酸回路で中心的な役割を果たす物質で、クエン酸回路を活性化する作用があります。
すっぽんは、このクエン酸回路で糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素をエネルギーに代謝する際に補酵素として作用するビタミンB群が豊富です。
また、糖質や疲労物質とされる乳酸をクエン酸回路に運ぶアスパラギン酸も豊富です。
柑橘類のクエン酸と、すっぽんのビタミンB群、アスパラギン酸が相乗効果を発揮し、疲労回復効果を高めます。
柑橘類は、ビタミンCも豊富です。
ビタミンCは水溶性の抗酸化物質で、すっぽんも含有していますがその量はごく僅かです。
ビタミンCは、皮膚の真皮にハリや潤いを与えるコラーゲンの合成に必要な栄養素です。
すっぽんはコラーゲンが豊富な食品ですが、コラーゲンは消化の際に一度アミノに分解されてから体内に吸収されます。
吸収されたアミノ酸は、他のアミノ酸と結合したり、遊離アミノ酸※2として体に作用したりするので、摂取したコラーゲンが全てコラーゲンとして再合成されるわけではありません。
※2 遊離アミノ酸とは、他のアミノ酸とは結合せず、単独で体の機能に作用するアミノ酸のこと。
コラーゲンの合成に必要なビタミンCを摂取すると、すっぽんのコラーゲンの成分が体内で再合成される確率が高まり、美肌効果を発揮します。
酢
すっぽん料理の突き出しで、酢を使った和え物があるとすっぽんの栄養素と相乗効果を発揮します。
酢の主成分は酢酸で、クエン酸と同様にエネルギーを生産するクエン酸回路を活性化する作用があり、すっぽんのビタミンB群やアスパラギン酸と相乗効果を発揮します。
また、酢もすっぽんもアルカリ性の食品です。
人間の体は弱アルカリ性に保たれており、疲労が蓄積すると弱酸性に傾き疲労が蓄積するばかりか、血液がドロドロになり痛風の原因である尿酸が体内に蓄積しやすくなります。
すっぽんと酢を一緒に摂取すると、体が弱アルカリ性に回復するので、血液がサラサラに戻り、疲労回復が早まります。
さらに、酢の酢酸はすっぽんに豊富な鉄や亜鉛を溶かし、体内への吸収率を高める作用があります。
小松菜・ほうれん草
すっぽん料理では肉中心になりがちなので、野菜として小松菜やほうれん草のお浸しなどがあると、すっぽんの栄養素と相乗効果を発揮します。
小松菜やほうれん草は、カルシウムや鉄などが豊富な野菜として知られています。
しかし、小松菜やほうれん草の鉄は吸収率の悪い非ヘム鉄で、カルシウムもシュウ酸カルシウムなので、こちらも吸収率の悪いカルシウムです。
非ヘム鉄はすっぽんのようにたんぱく質の多い食品と一緒に摂取する吸収率が上がります。
また、すっぽんの肉自体にカルシウムはほとんどありませんが、カルシウムの吸収率を上げるビタミンDが豊富です。
すっぽんと小松菜やほうれん草を一緒に摂取すると、普段不足しがちな鉄やカルシウムを多く体内に吸収できます。
ほうれん草や小松菜は、ビタミンCやビタミンB群の一種である葉酸などのビタミン群も豊富です。
ビタミンCは、すっぽんに豊富なコラーゲンを体内で再合成する際に必要な栄養素です。
すっぽんもビタミンCを含有していますが、その量はほんの僅かなので、小松菜やほうれん草を一緒に摂取すると、体内で再合成されるコラーゲンの量が増えます。
コラーゲンは骨に柔軟性を与える成分でもあるので、カルシウムと共に丈夫な骨が作れます。
また葉酸は、すっぽんと小松菜やほうれん草に豊富な鉄、すっぽんに多いビタミンB6やビタミンB12と共に、酸素を運ぶ赤血球の主成分であるヘモグロビンの合成に必要です。
すっぽんと小松菜やほうれん草を一緒に摂取すると、骨粗しょう症のリスクを軽減し、貧血改善により効果的な食べ合わせとなります。
大豆製品
すっぽん鍋の具材に豆腐や湯葉などの大豆製品が使われていると、更年期障害に悩む女性にとって嬉しい効果を発揮します。
大豆は、「大豆イソフラボン」と呼ばれる二次代謝産物※3を多く含有しています。
イソフラボンは植物エストロゲンの一種で、女性ホルモンのエストロゲンと非常によく似た分子構造をしています。
イソフラボンが細胞のエストロゲン受容体と結合すると、エストロゲンが結合した時と同じ反応が起こります。
※3 二次代謝産物とは、植物特有の栄養素。生体の維持には必要ではないが、継続して摂ることで体に何かしらの効果をもたらす。
女性は45歳を過ぎると急激にエストロゲンの分泌量が減り、頭痛や倦怠感、肌荒れなどの更年期障害が現れるようになります。
イソフラボンは減少したエストロゲンの代役となり、更年期障害を緩和する作用があります。
すっぽんは、更年期障害の症状を緩和する栄養素を含有しています。
更年期障害は、エストロゲンの分泌減少による自律神経の乱れが原因です。
自律神経の乱れを改善するには、神経の興奮状態を鎮静化する作用のある脳内ホルモンのセロトニンやGABA(ギャバ)の生産が必要です。
セロトニンの合成には必須アミノ酸のトリプトファン、GABAの生産には非必須アミノ酸のグルタミン酸が必要で、すっぽんはどちらの栄養素も兼ね備えています。
これらの脳内ホルモンは加齢と共に脳内での生産量が低下するため、すっぽんで生産に必要な栄養素を補うと分泌量が増える可能性が高まり、自律神経の乱れを改善できます。
まとめ
すっぽんと相性の良い食材はにんにく、酢、柑橘類、小松菜やほうれん草、大豆製品です。
にんにくのアリシン、酢の酢酸はすっぽんの栄養素と相性が良く、疲労回復効果を高め、血液をサラサラにする作用があります。
柑橘類はクエン酸が疲労回復に、ビタミンCがすっぽんに豊富なコラーゲンの体内での再合成を促進します。
すっぽんのビタミンDやたんぱく質は、小松菜やほうれん草のカルシウムや鉄の吸収を高めます。
一方、小松菜やほうれん草のビタミンCや葉酸は、コラーゲンやヘモグロビンの合成を促進し、互いに豊富な栄養素の欠点を補う相乗効果を発揮します。
大豆製品のイソフラボンは更年期で不足するエストロゲンの代役となり、すっぽんのアミノ酸で自律神経を整えると、更年期障害の諸症状を緩和します。
すっぽん料理を食べる際は、一緒に食べる食材も吟味すると、すっぽんの健康効果をより高められます。