すっぽんで貧血改善
すっぽんは貧血対策になる?
古くから、スタミナ食や漢方薬として愛用されているすっぽん。
漢方の世界では、すっぽんは造血効果があるとされ、漢方薬局では貧血対策にすっぽんが処方されることがあります。
すっぽんは貧血の症状がひどい時だけ摂取すれば、体調が良くなるのでしょか?
今回は、すっぽんと貧血の関係についてお話します。
貧血とは
貧血は血液で酸素を運ぶ役割を担う赤血球の主成分のヘモグロビンが、何らかの原因で生産が不足している状態です。
貧血になると普段から倦怠感を感じ、息切れしやすくなります。
また、立ち眩みやめまい、冷え性など、体の不具合が頻発します。
貧血の原因は鉄不足
貧血の主な原因は、食事で摂取する鉄不足です。
鉄は体内でヘモグロビンを合成する際に、その構成物質として必要な栄養素です。
鉄は体内で生産できないミネラルなので、食事で摂取しなければなりません。
鉄は日本人の食事で不足しがちで、しかも体への吸収率が非常に悪い栄養素です。
体内で鉄が不足すると、ヘモグロビンの合成が十分に行われず貧血になります。
鉄の摂取量
赤血球は新陳代謝※1で毎日新たに生産される一方、古い赤血球も毎日分解されます。
分解された赤血球の鉄の一部は尿や汗と共に体外に排泄され、その量は1日あたり約1mgです。
そのため、体内の鉄を維持するには、少なくとも毎日1mgの摂取が必要です。
※1 新陳代謝とは、古い細胞を分解し、新しい細胞に入れ替えることで、組織の機能を維持する生理現象のこと。
また、男性に比べ女性に貧血が多いのは、生理で出血があるためです
そのため、月経のある女性は、男性より多くの鉄が必要です。
2015年度版の『日本人の食事摂取基準』では、1日に推奨される摂取量は男性で7.5mg、月経のある女性で9mgです。
毎日1mgの排泄と言われているのに、これほどの量が推奨されている理由は、鉄の吸収率が非常に低いからです。
厚生労働省では鉄の吸収率を15%と見なして、この数字を設定しています。
すっぽんの鉄の含有量
漢方の世界では、すっぽんは血液と関係のある効果が多く、造血や血を正常にする効果があるとされています。
すっぽんは鉄の含有量が多く、100gあたり0.9mg含有しており、これは成人男性が1日に推奨される摂取量の12%に相当します。
鉄は、動物性の食品に含まれるヘム鉄と、植物性の食品に含まれる非ヘム鉄に大別されます。
非ヘム鉄はヘム鉄に比べ吸収率が悪く、全体の1~2%程度しか体内に吸収されません。
一方、ヘム鉄は非ヘム鉄に比べると吸収率が良く、全体の25~30%が体内に吸収されます。
すっぽんは動物性食品なので、すっぽんの鉄は吸収率の高いヘム鉄で、貧血の鉄不足に効果的な食品です。
すっぽんで貧血対策
すっぽんはヘモグロビンの合成に必要な栄養素も豊富
ヘモグロビンの合成には、鉄とたんぱく質の他に、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12の作用が必要です。
すっぽんはこれらの栄養素を全て備えているため、ヘモグロビンの合成に効果的です。
ビタミンB12は植物性の食品にはほとんど含有されないので、肉類が嫌いな方はすっぽんのサプリメントや漢方薬はとても有効です。
すっぽんは特にビタミンB12の含有量が多く、100gあたり1.2μg含有し、これは成人男子が1日に推奨される摂取量の50%に相当します。
すっぽんの亜鉛は造血作用を高める
ヘモグロビンは、骨髄にある造血幹細胞で日々作られています。
その数は、1日あたり2000億個弱と言われています。
実際はさらに3~5倍の生産能力があると言われ、高地などで低酸素状態になると赤血球の生産力が上昇します。
この造血幹細胞の旺盛な細胞分裂を支えているのが、亜鉛です。
亜鉛はたんぱく質の合成や、正常な細胞分裂を行う際に必要な栄養素で、造血幹細胞に亜鉛が不足すると、赤血球の生産力が低下し貧血になるリスクが高まります。
すっぽんで亜鉛を補うと、赤血球の生産力が向上し、貧血改善に効果を発揮します。
すっぽんは亜鉛も豊富で、100gあたり1.6mg含有し、これは成人男子が1日に推奨される摂取量の16%に相当します。
すっぽんは貧血の症状が出た時だけ摂取すればいいの?
すっぽんに即効性はない
人は何か症状が出た時だけ、薬やサプリメントに頼りがちです。
西洋の医薬品は特定の症状に対し即効性のある成分を含有しているため、原因が分かっている症状に対して非常に有効です。
一方サプリメントは薬ではなく、健康を維持するために栄養素を凝縮した健康食品です。
また、漢方薬も生薬に含まれる栄養素で、徐々に体質を改善することを目的としています。
そのため、鉄やヘモグロビンの合成に必要な栄養素が豊富なすっぽんのサプリメントや漢方薬を、1~2回摂取したからと言って、貧血がすぐに解決するわけではありません。
鉄は体内に貯蔵される
鉄は体内に成人男性で約4g、成人女性で約3g存在しています。
体内の鉄の60~70%が、ヘモグロビンとして存在しています。
また3~5%がミオグロビンとして、筋肉などの細胞内で存在しています。
実は残りの20~25%が、貯蔵鉄として肝臓や脾臓に保管されています。
1日に排泄される鉄の量が1mgなので、直ぐに鉄が不足するわけではありません。
鉄不足の食事が続くと貯蔵鉄が徐々に減り、ヘモグロビンの生産に支障が出て貧血になります。
鉄は貯蔵ができるのですから、鉄が豊富なすっぽんのサプリメントを毎日摂取すると体内の鉄の貯蔵量が増え、貧血になり難い体質に改善できます。
まとめ
すっぽんは貧血の原因であるヘモグロビンの合成に必要な鉄が豊富で、他にもたんぱく質、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12など全て揃っています。
また、赤血球を作る造血幹細胞を活性化する亜鉛も豊富です。
そのため、すっぽんは貧血を改善する効果がありますが、医薬品ではないので即効性はありません。
すっぽんのサプリメントや漢方薬を活用し、毎日すっぽんの栄養を摂取すると、徐々に体内に鉄が蓄積され、貧血になり難い体質に改善していきます。
すっぽんの栄養は毎日摂取してこそ、貧血対策に効果を発揮します。